バド・パウエルの録音時期について前回のエントリで触れたが、その中でも初期〜全盛期(1944〜1951)のライブ録音について触れておきたい。
CD、レコードではどれも廃盤として入手困難になったものばかりだが主に次のものが挙げられる。
Earl Bud Powell, Vol. 1 - Early Years Of A Genius, 44-48 (Mythic Sound) LP,CD
All Stars X'mas Concert (Norma) CD
New York All Star Sessions (Bandstand) CD
Charlie Parker At Birdland Volume 1,2 (Ember) CD
「Earl Bud Powell, Vol. 1 - Early Years Of A Genius, 44-48」はイタリアのMythic Soundから20年ぐらい前だろうか、バラ売りあるいはCD10枚組、LP11枚組セットで販売されたものの中の1つ。
筆者が持っているのはLPセットの方だが、曲目を紹介すると
1.Introduction
2.West End Blues (J.Oliver, C.Williams)
3.Perdido (J.Tizol, E.Drake)
4.When My Baby Left Me (E.Vinson, C.Williams)
5.Royal Garden Blues (S.Williams, C.Williams)
6.Roll' Em (M.L.Williams)
7.A - Tisket A - Tasket (E.Fitzgerald, A.Feldman)
8.Do Nothin' Till You Hear fromMe (D.Ellington)
9.Smack Me (D.R.)
10.Air Mail Special (C.Christian, B.Goodman, J.Mundy)
11.One O'clock Jump (W.Basie)
12.Introduction
13.Perdido (J.Tizol)
14.Indiana (B.McDonald, J.F.Hanley)
となっており、1-2はテレビ番組「カナダ・リー・ショウ」から1944年7月4日のクーティ・ウィリアムスとのデュオ、3-5は1944年春頃のニューヨークのアポロ劇場、サボイ・ボールルームからのラジオ放送を録音したものでパーソネル不明。6-11はAFRS(つまり今のAFN)のラジオ放送の録音でクーティ・ウィリアムス楽団によるもの、7と8にはエラ・フィッツジェラルドも加わっている。12-14は1948年12月19日のロイヤル・ルーストからのラジオ放送でベニー・ハリス、J.J.ジョンソン、リー・コニッツ、バディ・デ・フランコ、バド・ジョンソン、セシル・ペイン、チャック・ウェイン、ネルソン・ボイド、マックス・ローチらとの演奏である。
このアルバムはビッグバンド等大編成バンドの演奏が中心であるため、バド・パウエルのソロは少ないが、3のPerdidoなどで彼がスウィングスタイルでピアノを演奏しているなど最初期のバド・パウエルを知ることのできる貴重な資料となっている。また1のイントロダクションでクーティ・ウィリアムスが「Buddy Powell」と呼んでバドを紹介していることも当時を偲ばせる(クーティ・ウィリアムスは彼の事をバディと呼んで可愛がっていた)。
「All Stars X'mas Concert」は1949年12月25日にカーネギー・ホールで行われたクリスマスコンサートの模様を収めたアルバムである。
参加アーティストはバド・パウエル、マックス・ローチ、カーリー・ラッセルのトリオとそれに加えてマイルス・デイヴィス、ソニー・スティット、ベニー・グリーン(tb)、サージ・チャロフを加えたマイルス・デイヴィス・セプテット。
スタン・ゲッツ、カイ・ウィンディング、アル・ヘイグ、トミー・ポッター、ロイ・ヘインズから成るスタンゲッツクインテット。
サラ・ヴォーンとジミー・ジョーンズ(b)のデュオ、リー・コニッツ、ウォーン・マーシュ、レニー・トリスターノ、ジョー・シュルマン、ジェフ・モートンのトリスターノクインテット。
そして先ほどのゲッツクインテットのフロントをチャーリー・パーカー、レッド・ロドニーに入れ替えたチャーリー・パーカークインテット。という錚々たるバンドばかり。
この中でバド・パウエルはトリオでAll God's Chillun' Got Rhythm、マイルス・デイヴィスのバンドでMove, Hot House, Ornithologyを演奏している。どれも素晴らしい演奏だが、特にトリオのAll God's Chillun' Got Rhythmは「Jazz Giant」の演奏をはるかに超えるテンポで超絶技巧を披露している。
「New York All Star Sessions」に収められている演奏は1953年のバードランドにおけるトリオセッション、及びそれにディジー・ガレスピーを加えたカルテットでの演奏が5曲と前述のカーネギー・ホールのクリスマスコンサートからOrnithologyを除いた3曲と、上記の1948年のロイヤル・ルーストでの演奏と同日のものと思われるJumpin' with Symphony Sidと52nd Street Themeが収められている。
とくにこの1948年のセッションの52nd Street Themeはバド・パウエルのソロを全編にわたってフィーチャーしたものであり、ファストテンポで長尺の素晴らしいソロを披露している。また他のバド・パウエルの演奏では聴かれないようなフレーズも多い。
最後の「Charlie Parker at Birdland Vol.1,2」は1950~1951年にバードランドからラジオ放送されたチャーリー・パーカー名義のセッションを集めたCD各2枚組の計4枚。
この中でバド・パウエルが参加しているのは、1950年5月15,16日のファッツ・ナヴァロ、チャーリー・パーカー、カーリー・ラッセル、アート・ブレイキーらとのセッション及び1951年3月31日のディジー・ガレスピー、チャーリー・パーカー、トミー・ポッター、ロイ・ヘインズらとのセッションである。
上記のセッションが収録されたCDの中で入手可能なもの、再発等
1948年ロイヤル・ルーストにおけるセッションは、2004年にPabloレーベルから発売された「Bud Powell - Bebop」というCDの中において、上記のCD、LPに未収録だった曲と共に収録されている。
チャーリー・パーカーの1951年のセッションは2009年にRare Live Recordings(RLR)レーベルからリリースされた「Charlie Parker & Dizzy Gillespie - Complete Live at Birdland」というCDで入手可能なようだ。
また1950年のセッションも「Charlie Parker/Fats Navarro/Bud Powell - Complete Live at Birdland」というCDが2009年に同RLRから発売されているが、こちらの方が入手困難かもしれない。
なお「Charlie Parker at Birdland Vol.1,2」はiTunesやAmazonでMP3がダウンロード販売されているので目当てのセッションだけ買っても良いだろう。
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